事業・プロジェクト紹介

社会調査関連事業

社会調査史料のアーカイブ

プロジェクトの概要

社会データ構造化センターや、統計数理研究所が主体となり、あるいは共同研究の形で実施してきた各種の社会調査に関連して、個票データの公開とは別に、当該調査の詳細な分析や結果の考察に資する、さまざまな補助情報(調査付帯情報)を公開、あるいは共同利用の形で利用者に提供することで、社会調査の歴史的研究や、今後の社会調査設計の参考資料としていただくことを目指しています。

プロジェクトの背景と目的:調査付帯情報の重要性

社会調査の最も主要な成果はその結果であり、集計・報告やそのデータ分析が成果の価値を決めることは言うまでもありません。しかしその成果に至るまでのプロセスについては、報告書に一部が記載されるものの、十分な情報が公開されない場合も多いと思われます。
調査準備プロセスを、調査票の作成(測定のプロセス)と対象者の選定(サンプリング)の側面に分けて考えてみましょう。主体や調査の目的により様々でしょうがが、調査票の作成に際し、項目はどのように作られたのか(過去の調査からの引用であったり、新規に作成したものであったり)、国際比較調査であれば、翻訳や逆翻訳を含む多言語での調査票の準備プロセスがどのようなものであったか、という点は調査の質を決める重要な要素となります。他方サンプリングについては、サンプル設計をどのような考え方に基づき行ったのか、例えば多段抽出のための単位の選定、層化の基準とその史料、フレームの考え方と台帳へのアクセス等々様々な勘案事項が含まれます。
個々の社会調査の結果についてこれらの準備プロセスが詳細に報告された史料を見ることは少ないと思われます。本プロジェクトでは、そのような調査(の実施に)付帯する情報の重要性を強調しつつ、次に紹介するようないくつかの事例に即して、付帯情報を将来の調査設計に生かすための基礎情報としてアクセス可能な形で残すこと、すなわち調査付帯情報をアーカイブ化し、それを公開し共同利用に供することが本事業の目的です。
設立経緯から、本事業では統計数理研究所が長きにわたって様々な調査プロジェクトを進めてきた、過去の史料を多く継承していることから、事業の名称は敢えて社会調査「資料」ではなく「史料」としています。史料の性質は、必ずしも歴史的な史料とは限りません。

想定される成果・目標(公開・共同利用する調査付帯情報の例)

各種の調査報告書

本事業では、これまで他の箇所では十分に公開されてこなかった、各種の調査報告書自体を公開の対象としています。
例えば以下のようなものがあります。

比較文化研究における連鎖的調査手法の確立とその展開─1983年ハワイ・ホノルル市民調査─(詳細はこちら
ハワイにおける日系人─日本人の国民性調査との関連─ハワイ日系人の言語調査─(詳細はこちら
オムニバス調査2014(新情報センター)(詳細はこちら
オムニバス調査2014(中央調査社)(詳細はこちら
伝統的価値観と身近な生活意識に関する意識調査-郵送調査と各調査機関のWEB調査の比較-(詳細はこちら
THE JAPANESE AND THE AMERICANS
– COMPARATIVE AND TIME SERIES SURVEYS OF THE INSTITUTE OF STAHSTICAL MATHEMATICS(詳細はこちら
JAPANESE AMERICAN NATIONAL CHARACIER CONFERENCE(詳細はこちら
ブラジルの日系人の意識調査(詳細はこちら
浦東地区開発計画に伴う価値意識の変化に関する研究(詳細はこちら
国民性に関する意識調査データに基づく文化の伝播変容のダイナミズムの統計科学的解析(詳細はこちら
ブラジル日系人の意識調査 1992年2月 サンパウロ人文科学研究所(準備中)

調査企画時の付帯文書

調査報告書には必ずしも残されていないものの、調査の企画を行う際に様々な文書が残されることがあります。そうした文書も、後世の調査研究者には重要なヒントを与える可能性があります。

調査の企画文書

調査の企画全体を記述した史料が残されることがあります。現代では、調査の実施前に「倫理審査」を受ける際に、調査計画書の提出を求められるのが通例となりました。しかし、そうした文書は必ずしも報告書に記載されるとは限りません。

  • 例)1948年に行われた「日本人の読み書き能力調査」企画文書

    最近になって、国立国語研究所の研究資料室から、1948年に行われた社会調査史上高名な「日本人の読み書き能力調査」についての調査企画文書が見つかりました。社会データ構造化センターが協力し、このアーカイブ史料を国立国語研究所から公開していただいています。
    (Literacy Research Program,リテラシイ調査企画を参照

各種の調査で,サンプル設計を考える際の基礎史料(準備中)

調査のサンプル設計時には、「層化」とか「多段抽出」といった技法が使われるのが一般的です。そのようなサンプル設計を行う際に、公的統計などに基づき、調査対象、特に地域の特性について、様々な情報を集めることが普通です。そのような史料について記述した史料が残されていれば、サンプル設計時の方針などをより詳細に知ることができ、後に続く同様の調査のサンプル設計を行う際に参考とすることができます。

調査地点のリスト(準備中)

個人を対象とする社会調査では、二段抽出などにより「調査地点-個人」のような階層構造を持った形で回答が取集されますが、その調査地点の情報は、個票データに含まれていない場合がしばしばあります。調査地点の情報は、データの性質を検討したり、統計的な分析を行う際に重要な変数となりえますが、地点の情報を細かく開示することは、個票データから個人が同定されるリスクを高めるために、情報開示について慎重になる必要があります。

調査実施後の整理史料(準備中)

調査の「自由回答」形式の項目の場合に、調査実施主体は回答内容を事後的に「コーディング」して集計対象とすることが普通です。調査報告書に自由回答の内容がそのまま記載されることもありますが、歴史的にはカードなどに転記したものを整理する、といったプロセスを経ることがあります。そのような整理史料も共同利用の対象とすることが可能かも知れません。