事業・プロジェクト紹介

社会調査関連事業

意識の国際比較調査

プロジェクトの概要

統計数理研究所が1970年代から展開した「意識の国際比較調査」のプロジェクトの成果に基づき、(1)調査結果や公開やデータの共同利用を推進すること、(2)国際比較調査データの取得と共有のための方法、異なる文化や言語を越えた国際比較可能性を追求するためのデータ分析の方法や測定法を研究すること、の2点を通じて、国際比較のための調査研究の方法の成果公開・普及を目指しています。

プロジェクトでの研究・開発内容

2000年代からアジア太平洋地域の文化的多様性に着目し、多くの国・都市を調査してデータを取得してきました。地理的・文化的に近い国民の間に存在する類似性や相違点を研究することで、文化の違いにかかわらず共通する価値観や文化の違いに基づいて変化する価値観を見つけ出すための比較分析をおこなっています。
さらには、アーカイブされたデータの共同利用のためにメタデータの整備と集計表の公開をおこなってデータ・サイエンスの普及への貢献を目指しています。

Q. もういちど生まれかわるとしたら、あなたは男と女の、どちらに、生れてきたいと思いますか?

1 男に 2 女に 3 その他 4 D.K.(Don’t Know)

プロジェクトの背景

本研究は日本人の国民性調査(別項)との関連があり、1971年頃から、日本人の国民性をより深く考察するために日本以外に住む日本人・日系人を初め、他の国の人々との比較調査へ拡張されてきました(図)。たとえばその展開初期には、日本人とアメリカ人を単純に比較するのではなく、ハワイの日系人、アメリカ本土の日系人を調査してその価値観の変化をより詳細に捉えることを目指しました。その後、90年前後から欧米圏を含む7カ国の比較調査等を展開、近年では特にアジアに目を向け、2000、2010年代に「環太平洋価値観比較調査」「アジア・太平洋価値観国際比較」を遂行いたしました。本センターはそのプロジェクトを継承した活動を行っています。

図. 日本人とハワイや米国本土の日系人調査の枠組みとなる連鎖的比較の概念図

想定される成果・目標

  • 収集した意識調査の詳細な集計表のWEB等を利用した一般公開、共同利用データの整備等を通じて、国際理解の発展に資する基礎情報を提供すること
  • 特定の要因(例えば諸国民の信頼感のあり方について)焦点を当てた分析の展開通じて、世界の政治・経済の平和的発展の一助となる分析を推進させること。
  • 単純集計の単なる大小比較ではなく、異なる文化や言語を越えた国際比較可能性を追求するために、空間、時間、調査項目の比較の連鎖に階層構造を導入した「文化多様体解析 Cultural Manifold Analysis (CULMAN)」と称するパラダイムを発展させ、国際比較調査の方法論の深化・進化をもたらすこと。
このプロジェクトに関する詳細は、意識の国際比較調査ホームページをご確認ください。